2015年2月ocnより移ってきました

5.ハープのお話

アルパ アイリッシュハープ  ペダルハープ グランドハープの説明 ペダルハープ グランドハープの写真 サウルハープ 

これを読めばあなたもハープ通になれます。写真は本文のあとに17枚あります。スクロールするか、上の赤字の ハープのお話 の下の下線付きの文をクリックして見てください。   本と絵と楽器について  のサブぺージにもハープの写真と詳しい文がありますから、これもご覧ください。

  よくご存知のようにハープの歴史は極めて古く、弓の歴史と同じくらい長いと言われています。ハープはエジプト、メソポタミア文明の古代の壁画や壷の表面の装飾絵画などから推測すると3000年以上前から演奏されていたと思われます。日本においても、東大寺正倉院の御物の  〔くご〕  はアッシリア形式の23弦のハープであることから、すでに8世紀、奈良時代にはハープが演奏されていた事がわかります。弓の弦がはじかれる時、出る音からヒントを得てハープが発明されたという説もありますが確かなことは判りません。歴史的にみれば、ハープの種類はあまりにも多く、ここではとても全部紹介できません。現在も多くの種類のハープが演奏に使用されていますが、日本では主に   1.アルパ  2. アイリッシュ ハープ あるいは レバー ハープ   3.   ダブルアクション ペダル ハープ あるいは グランド ハープ 4. サウル ハープ が主に普及しています。ここでは 主にアイリッシュ ハープ ペダルハープ についてお話したいとおもいます。

スクロールしても下の項目をクリックしてもどちらでも見れます。

1. アルパ

 アルパは中南米由来のハープでインデアン ハープあるいはラテン ハープ ともよばれ、メキシコからアルゼンチンまで広く普及しています。アルパの起源は昔スペイン人が南米にもちこんだハ-プを見て現地のインデアンが丸太をくりぬいたものをサウンドボードとして作ったハープに始まるといわれています。アルパの大きさはそれぞれいろいろなサイズがありますが、普通はペダル ハープとレバー ハープの中間のものが多いようです。柱は比較的細くまた真っ直ぐで、ペダルはありません。弦数は普通36本で、レバーはなく半音は出せません。現在のアルパは、弦の上端はギターと同様に蝶ネジ付きのピンに巻かれているため,調律が容易です。アルパは他のハープと異なり爪で演奏するのが特徴です。そのため昔は爪の硬い男性が主に演奏していましたが現在日本では男女ともに演奏するようです。中南米では未だ演奏家のほとんどが男性だとおもいます。音色は爪を用いるためか他のハープより少し固めですが非常に明るいのが特徴です。アルパは日本では上松美香さんがプロとして活躍しておられます。彼女は多数のCDもリリースしておられますし、テレビ出演等から皆さんよくご存知だとおもいます。アルパは中南米では地元のリズムで極めて激しく強く厚い爪で演奏されるのが普通ですから、日本の曲を含めた上松さんの軽やかな演奏は、アルパの新しい可能性を開拓したといえるでしょう。アルパは私の知る限り国産のものはないと思います。したがって彫刻があり美しいアルパを求めることはなかなか難しいかもしれませし、教師も少ないでしょう。アルパの価格は見た目ほどでなくかなり安いと思います。日本に輸入されているものは,パラグアイ製が多いのではないでしょうか。アルパについて詳しく知りたい方はここをクリックしてください。

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2. アイリッシュ ハープ あるいは レバー ハープ

拡大写真はここをクリック

↑ アイリッシュ ハープのー例 青山製 36弦 高さ 140cm すべての弦の上部にそれぞれひとつずつ小さな手動のレバーが、半音上げるために付いています。そのためレバー ハープともよばれます。ペダルがない事からノンペダル ハープと言う人もいます。レバーは歴史的には左右に動かしていたそうですが、日本の青山が上下に動かすハープを開発し、それが便利なため現在では、世界中のメーカーが、その方式を採用しています。写真のように柱が曲線を描いているのがアイリッシュ ハープの特徴です。レバー ハープの中には、もちろん柱がまっすぐのもの、あるいは弓状のものもあります。写真の例はアイリッシュ ハープのなかでは最も大型のものです。これより小型のハープには、しばしば椅子のように数本の木の足がついています。サウル ハープと異なり膝の上でなく、木の足あるいはベースを床につけて奏きます。一般に大きさは、100-140cmのものが多いとおもいます。弦数も27-36くらいまで各種のものがあります。さまざまな大きさの国産のアイリッシュ ハープがありますから、求めるのは容易ですが、注文してから製作するため、受け取るまでに7-10ケ月位またされます。極めて高価なペダル ハープと異なり、お値段も中程度ですからアマチュア演奏家のほとんどがアイリッシュ ハープを用いています。教師も比較的容易に探せます。演奏はペダル ハープと同様に左右の手の第1-4指で行い小指は用いません。弦は低音が金属弦、中高音はナイロン弦が普通です。多数あるレバーと弦の中から音階を区別するよう、レバーと弦は目印のため C(ツェー.... ド)は赤色で、F(エフ... ファ)は青色になっています。メーカーはアメリカ、 ヨーロッパに無数にあります。自作キットも発売されていますが、レバーの有るものの自作はなかなか難しいと思います。自信のある方は試みてください。

          

↑レバーの拡大写真です。レバーは下げてあります。半音上げたいときは、一本一本、手でレバーを上げます。

↑レバーを上げた時の拡大写真です。


3. ダブルアクション ペダルハープ あるいは グランド ハープ

 ダブルアクション ペダル ハープは通常オーケストラで使用されているハープのことで、それぞれ音階のドレミのドからシまでに対応した7本のペダルがハープの下後部にあり、3段階のぺダル操作でペダルの高さを上中下と変える事により全弦半音上下可能なハープです。単にペダル ハープあるいはグランド ハープとも呼ばれています。練習用でなく演奏用のペダル ハープのことをコンサート ぺダル ハープといいますが コンサート ペダル ハープは通常 ペダル 7本  高さ 185-190cm 重さ 約45kg 弦数 47本 各弦の間隔は、1.4ー1.5cm  サウンドボード(音響板)はラウンデイッド(下になるにつれて曲線状に太くなる) そして柱に何がしかの彫刻があり 最高級のハープにはゴールドといいますが柱の彫刻が金張りです。コンサート ペダル ハープは極めて高価ですが、その中でも柱の彫刻の程度、ゴールドかどうか以外に、特に用いる木の種類により価格は異なります。練習用あるいは学生用のペダル ハープは  高さは175cm以下が多く、弦数は40-46弦、 サウンドボードはストレートで、普通、柱の彫刻は、ほとんどありません。47弦でサウンドボードがラウンデイッドのものをフルコンサートあるいはフルグランド、46弦でサウンドボードがラウンデイッドのものをセミコンサートあるいはセミグランドとよぶこともあります。コンサート ハープと、練習用、学生用のハープとの音響の違いはコンサート ハープの方がより音が大きく、やわらかく深みがあり、表現力が大きいことです。

 ペダル ハープの各部の名称は、まず前面の円柱はColumn()  ハープの上部で前から後ろにかけて曲線を描いていて各弦を巻きつけるチューニング ピンの付いている部分をNeck(ネック) いいかえると弦の上端がついている部分がネック  ハープの下からネックの後部にかけて続いていて弦の張ってある斜めの板をSound board(サウンドボード) いいかえると弦の下端がついている板がサウンドボード  ハープの一番下の台座をBase(ベース)  ネックの部分で各弦をはさむように突き出ている2本の短い金属棒からなる部品をフォークといいます。フォークは食器のフォークのように2本の金属棒が横に突き出ている事からこ、のような名前がついています。フォークは各弦に上下一対ずつあります。フォークの根元が小さな円盤になっているときはデイスクといいます。文の説明では良くわからないと思いますが、下の2-5枚目と10枚目の写真を見るとフォークはよくわかります。
 各弦の音の高中低はフォークを全く回転させないか、一対のフォークのうち上のフォークのみ、わずかに回転させるか、または上下両方のフォークをわずかに回転してフォークの短い金属棒を弦に強く接触することにより行われます。もちろんフォークを全く回転させないときはフォークの金属棒は弦に接触していません。
 ペダルの上中下の操作がどのようにしてフォークの回転運動になり各弦の音の高さが変わるのでしょうか。まず柱の中は中空になるようくりぬいてあり、柱の中空の穴の中に7本の長い金属棒〔ロッド)が挿入されています。この7本のロッドはそれぞれ7本のペダルに対応しています。ペダルの上中下の操作はそれぞれのペダルに対応した柱の中のロッドの上中下運動となります。このロッドの運動がネックの中の極めて複雑なメカニズムを運動させ、これによりフォークにわずかな回転運動を起こさせ各弦の音の高低を変化させます。この時一つのペダル操作で弦は7本おきに合計6-7本の弦の音の高低を変える事ができます。下の2枚目から9枚目の写真を見るとかなり良く判ると思います。このように複雑な機構のためペダル ハープの部品は合計1500以上になります。
 弦はコンサート ペダル ハープの場合47弦ありますが、低音から12本は金属弦です。それ以上の高音の弦は、動物の腸から作ったガット弦が普通です。最高音部のいくらかの弦には、演奏家によっては音色の好みによりナイロン弦を使用する場合もあります。ちなみにサルビ社製の一番低音の弦はたった一本で6万円以上します。もちろん高音になるにつれて細く短くなりますから急速に安くなります。弦の強い張力のため、ハープにはおよそ600-1000kgの強い力がかかっています。低音の金属弦はめったに切れることは有りません。.高音の弦はフォークとの接触部分がしばしば切れます。弦は演奏の目印として  ド C  は赤色に ファ F は青色になっています。47弦のハープの場合、最低音の弦〔一番長い弦〕は赤色です。演奏はアイリッシュ ハープと同様に左右両手の第1-4指でおこない、小指は使いません。演奏にはバイオリンのフラジオレットに相当する手法も有りますが、私自信試みてみましたがなかなか難しいです。ペダルは左側に3本、右側に4本あり真中は少し空けて設置されていますからペダル操作は両足でおこないます。
 ペダル ハープを製作しているメーカーは、アメリカ シカゴにライオン アンド ヒーリー  及びヴィーナス、ボストンにスワンソン、イタリア ジェノバにサルビ、日本に青山、ドイツにホルンガッハー及びThurau、フランスにCamacが有り これらのメーカーは練習用、学生用のみならずコンサート用も製作しており、また練習用のハープのみ製作しているメーカーとしてイギリスにピルグリムがあります。この他チェコスロバキアに一社(Lounatcharskova)、ロシアにニ社(St. Petersburger)あると聞いております。現在のペダルハープメーカーとしては世界中でこれらがすべてで、多分もれはないと思います。ライオン アンド ヒーリー社はサルビに吸収されており、お互いに異なるハープを製造していますが、経営的には同じ会社です。過去には特筆すべきメーカーとしてウーリッツァーと、ホルンガッハーが引き継いだオーベルマイヤーがありましたが、現在製造しておりません。その他ごく古いブランドとして、Erard(エラール)以外に、Erat, Dott, Harnack, Josef L, Morley等が有名です。メーカーとその特徴等に関しては、このホームページの別のサブページ  本と絵と楽器について  に詳しく書いてありますからそれをご覧ください。 

 歴史的にいえば、時代が進むにつれて、 ハープは次第に複雑な演奏の必要にせまられ歴史のかなり古い、レバーのあるハープの改良が必要になり、17世紀末に初歩的なシングルアクション ペダル ハープが発明され18世紀に大改良されました。これは全弦 足元の7本のペダルで半音上げることのできるハープです。有名なモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲、へンデルのハープ協奏曲は作曲時には、これで演奏されました。
 しかしこれも西洋音楽の進歩にともない不十分なものになりました。一時弦数を大幅に増やし〔例えばネックの両側から左右二列にかつ平行に弦を張る〕ペダルなしですべての半音を出せる数種類のハープが出現しました。なかでもクロマチック ハープは、かなり普及し、19世紀初頭にパリ音楽院には、クロマチックハープの課程ができたほどです。
 このクロマチックハープはネックの両側から弦を一本おきに交叉するように張り弦数を2倍弱にしてペダルがなくとも半音を出せるようにしたものです。しかしこのハープは弦が交叉しているため片方の手で、手の位置がある高さの時、それぞれおよそ半分の弦しかタッチできず、残りの弦を同じ手の指で弾くためには、手の高さを変える必要があり、別の意味での重大な欠点がありましたし、さらに全く美しくなくむしろ不恰好でした。
 従ってペダルの3段操作で全弦半音上下可能なハープが必要になりました。フランスのエラールは十数年の長期間と膨大なエネルギーをかけて1811年上中下の3段のペダル操作で全弦すべて半音上下可能なハープを完成しました。これがダブルアクション ペダル ハープです。ベルリオーズの幻想交響曲の第2楽章である舞踏会の章は、エラールのダブルァクション ペダル ハープで演奏することを前提に作曲されたものです。エラールのお話はこのホームページの  4. 本と絵と楽器について  のサブページに詳しくあります。
 一方、シングルアクション ペダル ハープは特にアメりカ シカゴのライオン アンド ヒーリー社等により20世紀の初頭(1920年頃)まで量産されていましたが、それ以後世界中でごく少数しか製作されていません。現在でもフランスのCamac社はシングルアクション ハープを受注生産しているそうです。このような経過でダブルアクション ペダル ハープが単にペダル ハープとよばれるようになりました。
 エラールはフランスのルイ16世の、音楽好きで有名な王妃マリーアントワネット〔オーストリア女王マリアテレサの娘〕と深い交流がありマリーアントワネットはエラール製作の美しい装飾つきピアノを愛用していました。彼女はハープも大好きで、シングルアクション ペダル ハープも演奏したことは確かです。
 エラールはダブルアクション ペダル ハープの完成のずっと以前よりシングルアクション ペダル ハープを製作していましが、エラールのシングル ペダル ハープを彼女が愛用したかどうかは、フランス革命の時期でもあり微妙なところです。ダブル アクション ペダル ハープの開発が前述のようにあまりにも時間がかかりマリーアントワネットはダブルアクション完成まえにフランス革命のため断頭台の露と消えました。
 当時貴族や富豪の令嬢のあいだでハープの演奏が流行というか、たしなみになっており、上流家庭にはシングルアクション ペダル ハープが極めて高価であったにもかかわらず、広く普及していて、サロンのシンボルともなっていました。 エラールは1811年にダグルアクション ペダル ハープを完成し、その後10年間に約3500台も販売したと記録にあります。このハープが異常に高価で現在の貨幣価値から換算すれば土地付き住宅一軒の価格以上〔現在はそれほどしません〕であることを考えると驚異的な数字です。また今より過去10年間のヨーロッパにおける練習用を除いたコンサート ペダル ハープの販売数よりはるかに多いとおもいます。昔の貴族や上流家庭は随分お金持ちだったんですね。
 1811年にエラールが世界で初めて開発販売したダブルアクション ペダル ハープはスタイル グリーシャン〔Style Grecian ギリシャ型〕といって43弦で弦数も少なく、柱も細く、高さも低いサロン用のものでした。また弦の張力が弱いため音も小さいものでした。従ってプロの演奏家あるいはホールでの演奏には適していませんでした。
 そのためエラールは、その後さらに十数年かけて改良し当時のコンサート用として柱も太く、高さも高く、弦の張力も強い46弦のスタイル ゴシック〔Style Gothique ゴシック型〕を完成しました。それが当院に展示してあるエラールのハープで、ほぼ同じものが武蔵野音楽大学の楽器博物館にもあります。このスタイル ゴシックはそれら以外に、もう23本日本に入ってきていると思います。エラールのこのハープはペダルが、ベースの後部のまん中に一本追加されており合計8本あります。この余分のペダルは音質を変化させるためのものです。
 エラール(Erard)がダブルアクション ハープを開発後、ヨーロッパには多数のエラールのハープのコピー メーカーが出現しました。前述のErat, Dott, Harnack等はその典型例です。19世紀の末まで、コンサート ペダル ハープの弦はすべてガットで、弦数も通常46以下、またサウンドボードはストレートで、普通 横の木目の一枚板でした。従って19世紀のハープには、張力が強すぎるため、現在の弦を、ハープの改造なしにそのまま張ることはできません。20世紀初頭になって初めて、47弦、金属弦 プラス ガット弦、サウンドボードがラウンデイッドであるハープが出現し、それ以後ペダル ハープは現在のものと、ほとんど変わっていません。ただ現在のハープのサウンドボードは増大した弦の張力に耐えるため木目が交叉するように2-3枚を張り合わせた板を使用しているようです。
 もともとクラシック音楽は現在とは異なり貴族あるいは上流家庭のために発達してきたものですが、エラールのダブルアクション ハープもこのような時代背景の基に開発されました。このためスタイル ゴシックのハープは、もちろんゴールドで、特に柱の彫刻は極めて精密で美しく、現在の最高級のハープにも見られないものです。いいかえれば貴族や上流家庭のみが求めることを前提に豪華に製作されたとおもわれます。現在このようなハープを製作したとしても、採算に合わないでしょう。現在では貴重なものになってしまい、その保存のため個々のエラールのハープは国際エラール協会に登録する制度になっています。 

 上述のように1811年の完成当初より急速にダブルアクション ハープが上流家庭に普及していったのはよいのですが、上流家庭の令嬢には演奏が難かしすぎて、ほとんどサロンの飾りとなってしまい、次第にハープの演奏はプロの手に移って行きました。

 


拡大写真はここをクリック 

↑ダブルアクション ペダル ハープの例 ペダルは上側に折りたたんであります。イタリア ジェノバのサルビ社製 型名ダイアナ 47弦 ペダル7本 高さ 189cm 右下にあるのは、ヴァイオリンではありません。チェロです。

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↑ペダルが上段の時、ハープの前側(柱側)から見たフォークとデイスク

↑ ペダルが上段の時にハープのネック(弦の上端が付いているところ)を横から見た写真。フォークが写っています。フォークとはそれぞれの弦をはさんでいる2本の金具です。一本の弦につき、それぞれ上下二個のフォークがあります。フォークを斜めから見た写真を6枚あとに示します。右側二本の弦を挟んでいるフォークの根元は写真のように円盤になっており、この円盤をデイスクといいます。ペダルが上段の時のフォークの角度は上の写真のように上のフォークも下のフォークも、ともに水平に近いななめ向きで弦に全く接触していません。

↑ ペダルが中段の時のフォークの角度。 弦一本につきそれぞれ上下2個のフォークがありますが左側3列の上部の3個のフォークのみ回転してほぼ縦向きになり、弦と接触しています。この接触により弦の振動部分が短くなり音の高さが変わります。下のフォークは元のままです。ペダルが上段の時より半音あがります。

 ↑ペダルが下段の時のフォークの角度。左側3列のフォークは上下ともにすべて回転してほぼ縦向きとなり弦に接触しています。従ってさらに半音あがります。

↑ ハープの一番下の部分(ベースといいますが)の後ろ側からの拡大写真。上段の位置にあるペダルをしめしています。ペダルはベースの後ろ側の左よりに3本、右よりに4本有り真中は少しあいています。この写真は左の3本のペダルを示しています。

↑中段の位置のペダルを示しています。

↑下段の位置のペダルを示しています。

 

↑演奏しない時はペダルは折りたたんでおきます。

 ↑ネックの内部の複雑なメカニズムと前述のフォークの写真です。ペダルの上中下段の運動は、柱の中のくりぬかれた穴に設置された長い7本の金属棒を介して上の写真に示す様にネックの両側の金色金属板の間の複雑なメカニズムに伝えられフォークの回転運動になります。メカニズムは複雑を極め、金属部品の数は合計1500以上あり、ピアノは木の部品が多いため移動できる楽器のなかでは金属部品の数はハープが最も多いとおもいます。

↑エラールのハープ スタイル ゴシック ゴールドの柱の彫刻

↑エラールのハープ スタイル ゴシック ゴールドの柱の天使の彫刻の拡大写真

↑ベース(一番下の台座)の彫刻の例 小さなこうもりが彫られています。

↑サルビのハープ ダイアナの柱の彫刻


 

4. サウル ハープ

 アメリカではボランテイアによる患者さんへの病院慰問では、ハープの演奏が最も好評だそうです。いかなる患者さんもハープの音色を嫌うことはなく、それが患者さんの心を癒すからだと思います。さてサウルとは古代へブライの王の名前です。旧約聖書によれば、サウルはダビデの演奏するハープの音色を聞いて、すさんだ気持ちが癒されたそうです。昔も今も同じですね。 サウル ハープは小型で膝の上にのせて演奏するのが特徴です。また小さく軽くてかわいくて、扱いが非常にらくで楽しいハープです。柱は円弧状(弓状)です。サウンドボックス(サウンドボード)は箱型で角張っています。弦数は25くらいだと思います。小さいですがレバーがついていますから、各弦すべて半音あげることができます。.青山が少なくとも一種類は製造販売しています、確かめたわけではありませんが多分同様のもののキットが売り出されているとおもいます。これを用いれば自作も可能です。青山のサウル ハープ モデル25Sを紹介しますと 弦数 25 高さ 75cm  重さ 3.5kgです。サウル ハープは青山により商標登録されているそうです。